NEWS

ニュース

新西工業株式会社 > Column > 残土処分費の相場は?土木業者必見!残土比重や持ち込み方法まで
 

残土処分費の相場は?土木業者必見!残土比重や持ち込み方法まで

     

建設現場に必ずと言っていいほどついて回る残土。

 一口に「残土」と言ってしまえばそれまでですが、硬さに応じて分別が必要だったり、土に他の物が混ざっていたら扱いが変わったり、その処分は意外に面倒だったりするものです。

また、近年では、きちんと処分されていなかった残土が原因で土砂崩れが発生するなど、不適切な残土処理が社会問題になるケースも散見されます。

そこでここでは、残土処分について正しい知識を得ながら、その処分にかかる費用について、きちんと知っていただけたらと思います。

「残土処分」の「残土」とは

それではまず、「残土処分」の「残土」という単語はどういう意味なのか、まずはそこを見ていくことにしましょう。

残土とは、正式名称を建設発生土といい、建築あるいは土木等の工事で、前段階として掘削を行った際に副産物として発生する土のことです。

廃棄物処理法に規定される廃棄物には該当しませんが、産業廃棄物に該当するものが混入していると産業廃棄物に該当してしまうので、取り扱いには注意が必要です。

残土の比重とは

さて、残土とは何かが分かったところで、今度は残土処分においてきわめて重要になってくる「比重」について、ご説明します。

 

そもそも「比重」とは

「比重」とは、理系の用語で、「水と比べてどちらが重いか」を表すものです。

水と、とある物質が同じ体積だけあった場合に、その物質が水と比べてどれくらい重いかを表しており、比重が1.0の物質は水と同じ比重です。

残土は、工事現場で、あくまでも「副次的に」発生するので、その大きさはバラバラです。

また、土によっては密度が異なる可能性もあります。

その結果、残土は比重が様々なので、きちんと把握しておく必要があります。

 

残土の比重が重要な理由は?

ではなぜ、残土の比重が重要なのか?

それは、残土の処分費用が、残土の体積で決まる場合と、重さで決まる場合があり、比重を把握しておかなければ、正確な処分費用を見積もることが難しくなってしまうからです。

例えば、「1tの土を処分するのに○○円」という残土処分費の決まりがあったとしましょう。

この場合、残土の比重が違うせいで、同じ値段で処分できる土の体積が変わってきます。

逆に、「1㎥あたり△△円」という残土処分費があった場合、やはり残土の比重が異なることの影響により、同じ値段で処分できる土の値段が変わってきます。

このように、残土の比重の違いは、同じ値段で処分できる残土の量の違いを生むので、きちんと意識しておく必要があるでしょう。

 

残土の種類別の比重

さて、ここからは、残土の比重が種類によってどれくらい違ってくるのか、具体的な数字を見ていきましょう。

残土は、比重別に、下記のように6種類に大別されます。

①赤土:1.6t/㎥

②黒土:0.85t/㎥

③砂:1.7t/㎥

④礫:2.2t/㎥

⑤採石C40・RC40:1.7t/㎥

⑥生コン:2.3t/㎥

残土処分費はどのくらいかかる?

さて、ここまで残土とは何か、残土の種類と比重について説明してきました。

ここからは、実際に残土の処分にいくらかかるのか、実際の費用を見ていきましょう。

残土の処分費は、処分場の地代が異なるなどの事情により、都道府県によって、値段が若干異なってきますが、基本的に、トラック一台当たりの値段で費用が決まってきます。

ここでは、関東圏での処分費用を例にとってご紹介します。

もちろん、場所や依頼する業者に応じて多少の変動はありますので、あくまでも目安として参考にしてください。

残土処分費の内訳は

では、そもそも残土処分費はどのような内訳で構成されているのでしょうか。

残土処分費を構成するのは、重機費用、運搬費用、人件費、残土捨て場の受け入れ価格の4つの価格です。

このうち、最も大きく変動するのが「重機費用」と「運搬費用」です。

さきほど説明したように、残土処分は基本的に、「トラック一台当たりいくら」という決まり方をするため、残土の量がある程度多い方が、処分費用は割安ということになります。

残土処分費の車両の重量別相場

それではここからは、残土処分費が車両の重量によってどの程度変動するかを見て行きましょう。

以下の表に、重量に応じた、処分車一台当たりの費用をまとめました。

車の重量

価格(1台あたり・税抜き)

残土処分2t車

9,000円

残土処分3t車

10,000円

残土処分4t車

12,000円

残土処分7t車

17,000円

2t車1台あたり9,000円なので、残土を2t処分しても、1t処分しても、同じトラックを使えば、処分費用は変わりません。

残土の処分量が多くなると割安になるのはこのためです。

ガラ混じり残土処分費とは?かかる費用は?

以上、残土処分費を見てきましたが、これは何も混ざっていない、純粋な残土の場合のお話しです。「ガラ交じり残土」と呼ばれる土の処分2なると、少し勝手が違ってきます。

そもそも「ガラ交じり残土」とは、産業廃棄物に該当する「ガラ」を含んだ残土のことです。

「ガラ」は、レンガやコンクリートブロックを砕いたものや、木の柱や杭の木切れなど色々なものなどのことです。

これらが混ざっていると処分費が高くなってくるので、分別してから処分した方がいいのですが、これらの分別はなかなか難しいので、ガラ交じり残土として、廃棄業者に廃棄を依頼されることがあります。

ガラ混じり残土処分費の車両の重量別相場

そんなガラ交じり残土の処分費の目安は、以下の表のようになります。

車の重量

価格(1台あたり)

ガラ残土処分 2t車

10,000円

ガラ残土処分 3t車

13,000円

ガラ残土処分 4t車

16,000円

ガラ残土処分 7t車

20,000円

残土処分費の費用変動の要因

さて、上記のように残土処分のおおよその費用をお伝えしてきましたが、何度かお伝えしたように、上記はあくまでも目安であり、現場の場所によって値段は様々変動します。

ではなぜ、残土処分費はここまで変動が大きいのか。その要因について見ていきたいと思います。

搬出場所から残土処分場までの運搬距離

まず初めに大きな要因となるのが、搬出場所から残土処分場までの運搬距離です。

運搬距離が違えば、車両を運転する距離が変わるので人件費も変わってきますし、当然ガソリン代などの燃費も変わってきます。

これが、残土処分費用の変動要因の一つになります。

地域によって違う道路事情

次に変動要因となるのが、地域によって違う道路事情です。例えば、残土処分場から搬出場所まで、高速道路を使わずに行けるのか、有料道路を通らなければいけないのか、また、その有料道路を通るのにいくらかかるのか、そういった地域ごとの道路事情によっても、残土処分費用は大きく変わってきます。

残土処分業者によって異なる金額

最後に、当然ではありますが、残土処分を依頼する業者によっても値段が異なってくるので、

残土処分業者の選定には十分注意するべきでしょう。

また、一般的に混同されがちな産業廃棄物処理業者とエクステリア業者の違いについても、きちんと認識しておく必要があります。

 

産業廃棄物処理業者とエクステリア業者の違い

正直この2つは、全く異なるものです。

エクステリアはインテリアの対義語で、家の外周を飾る門や外溝などを専門に扱う業者のことです。

一方、産業廃棄物処理業者は、法律で以下のように規定されている「産業廃棄物」を処理する業者のことです。

“事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物”

参考:東京都環境局

 

残土処分を、産業廃棄物処理業者に依頼するか、エクステリア業者に依頼するかによって、値段が大きく変わってくるので、両者の違いは押さえておきましょう。

一般的に、残土の量が比較的少ない時には産業廃棄物処理業者が、逆に残土の量が比較的多い時には、エクステリア業者の方が、お得に残土を処分できます。

残土処分場の受け入れ価格

残土処分費用の変動要因、最後は、残土処分場の受け入れ価格の違いです。

残土処分場も土地なので、場所によって地代が異なってきます。それもあって、処分場が異なると受け入れ価格も異なってきます。

残土処分費を安く抑えるための解体業者選びの方法

以上見てきたように、残土処分の費用は、様々な要因によって、大きく変わってきます。

ということは、選定する解体業者が違うと、それだけで残土処分費用が大きく変わってくる可能性がある、ということです。

そこでここからは、残土処分費用を安く抑えるための解体業者選びの方法についてご紹介しましょう。

残土処分に必要な車両を保有しているか

残土処分費用を安く抑えるための解体業者選び、第一のポイントは、その業者が「残土処分に必要な車両を保有しているかどうか」です。

業者が自前で車両を持っていない場合、その業者は他の会社から車両をレンタルして残土処分をすることになります。

使う車両がレンタルになると、車両をレンタルしている会社にも利益が出ることになり、その利益分が、残土処分の依頼者にかかる費用として上乗せされることになります。

そのため、自前で車両を持っている業者に比べて、そうでない業者は、車両費が割高になってしまいます。

解体業者が残土受け入れ業者を兼ねているか

残土処分費用を安く抑えるために、次に注目するべきは、解体業者が残土受け入れ業者を兼ねているかどうかです。

これも、上記の車両を保有しているか否かと同じ理屈ですが、解体業者と残土受け入れ業者が別々の場合、それぞれに対して利益が発生しますが、これが同一の業者だった場合、その利鞘が小さくなるため、解体業者が残土受け入れ業者を兼ねている場合は、そうでない場合に比べて、処分費用を安く抑えることが出来ます。

複数の業者から相見積もりをとる

最後は少し戦略的な話になりますが、皆さんも引っ越しのときに使ったことがある手法だと思います。

結局最後に処分を依頼するのが一社だけとはいえ、複数社に問い合わせすることをお薦めします。

ある業者の見積もりをもって、他の業者に問い合わせると、その見積もりを盾にとって価格交渉をできる可能性があります。

持ち込みなど、残土処分費の節約方法

さて、ここからは、業者選定以外で、残土処分費を節約する方法をご紹介しましょう。

二回目の説明となりますが、

残土処分費=重機費用+運搬費用+人件費+残土捨て場の受け入れ価格

ですので、4つのうちいずれかの費用を抑えることで、残土処分費を抑えることが出来ます。

以下でその具体的な方法をご紹介していきます。

残土処分場へ自分で持ち込みをする

まず一つ目の節約方法は、残土を自分で残土処分場に持ち込むことです。

これにより、重機費用と運搬費用、人件費を削り、残土捨て場の受け入れ価格のみの支払いで済むことになります。

 

残土捨て場への持ち込み方法

自分で残土捨て場へ残土を持ち込むには、まず残土捨て場や処理業者に問い合わせてみましょう。そのうえで、彼らの指示通りに残土処分場へ残土を持ち込めば、残土処分費用を抑えることが可能になります。

値引き交渉をしてみる

これを引き合いに出すのは反則のような気がしないでもないですが、業者に対して値引き交渉を行うのも、残土処分費を節約する上で有力な方法です。

この値引き交渉を少しでも有利に進めるためにも、残土処分費用の見積もりは、必ず複数社(最低でも3社以上)からとるようにしましょう。

事故が相次ぐ残土問題とは

ここまでで残土処分の費用についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

残土処分はすごく高そう、費用を抑えるためにいろいろやらなければならなくて面倒臭そう、そんな印象をお持ちの方が多いでしょう。

しかし、多少の費用と手間を犠牲にしてでも、残土はきちんと処分しなければなりませんし、きちんと処分した方が安全です。

このことをご理解いただくために、ここでは、近年相次いでいる残土問題について解説しましょう。

残土問題の事例

まずは実際に起こった残土問題の事例を3つ、ご紹介します。

 

東京オリンピックに向けた工事の裏で…

コロナウイルス禍で開催が延期になるなど、様々物議を醸した2021年東京オリンピック。

その東京オリンピックの関連工事が着々と進められる裏で、静岡県富士市で、土砂崩れに関する「非常事態」が宣言されました。

これは、東京オリンピックの関連工事で発生した土砂を、悪質な埋め立て業者が、富士山の山麓に違法で埋めたてることによるものです。

「非常事態宣言」が出るということは、今すぐにでも土砂崩れが起こっておかしくないということです。

残土をきちんと処分することなく放置しておくと、甚大な被害をもたらす恐れがあります。

 

リニアの開通工事を足止めするのは…

JR東海が計画するリニア中央新幹線。2027年に開通し、東京の品川駅から名古屋までを40分で結ぶ、夢の乗り物になる予定だが、その開通工事はさまざまな障害によって、何度も中断を余儀なくされてきました。

残土問題も、その障害の一つになってしまったことがあります。

リニアの工事は2014年からスタートしましたが、トンネルの掘削工事に暫く着手できず、工事がストップしてしまったことがあります。

その要因が、トンネル掘削に伴い発生する膨大な量の残土の処分地が、全体の2割分しか決まっていないことだった。

建設残土は不法投棄を防止するため、「資源」として有効活用できる場所でなければ捨てることができません。つまり、残土を有効利用できる処分地が決まらない限り、トンネルは掘れないのです。

残土処分は適切に処分する必要があるので、費用が高くなりがちだということですね。

 

2020年熱海の土石流

2020年7月3日、静岡県熱海市を大規模な土石流が襲いましたが、その土砂の大部分は、違法に処分された大量の盛り土でした。

本来、残土処分をする際には、その処分量と合わせて国や地方公共団体に届け出る必要がありますが、今回土石流が発生した場所で残土処分を行った神奈川県小田原市内の某業者が、実際の届け出を遥かに上回る量の残土を処分していたことが発覚しました。

しかも、その残土の中には、一部産業廃棄物も含まれており、大きな問題になりました。

総務省が実施する「建設残土対策に関する実態調査」とは

上記で見てきたように、建設残土の不適切な処分が原因で様々な問題が発生したのを受けて、総務省では、「建設残土対策に関する実態調査」を行いました。

この調査の目的について、総務省では下記の通り記載しています。

“建設残土の不適正処理事案の発生状況や対応状況等の現状を明らかにするとともに、建設残土の適正処理や有効利用を推進していくための課題を整理し、関係行政の改善に資するため”

つまりは、建設残土の不適正処理がどれくらい行われていて、それにどのように対策していくかを明確にするとともに、不適正処理を撲滅するための仕組みづくりが目的だということです。

参考:行政評価局調査の実施

残土条例とは

これまで見てきたように、建設残土の不適切な処分は、甚大な被害を招く場合があります。そこで、一部の地方自治体では、残土が適切に処理されるように、土砂の取り扱いに関する条例等(いわゆる「残土条例」)を制定しています。

この条例では、残土処分者への規制、搬出元の建設工事への規制と、2種類の規制が設けられています。

現在この残土条例を制定しているのは、埼玉県、千葉県、茨城県、神奈川県、栃木県、京都府、兵庫県、和歌山県、広島県、徳島県、福岡県などです。

個人の残土処分方法

それでは最後に、各個人が残土を処分する場合の方法について解説します。

園芸や家庭菜園が趣味の方は、土の処理に困ったことがおありかと思いますが、ここではその土の処分方法について見ていきます。

ゴミとして処分できない?

そもそも、個人が趣味で行う園芸や家庭菜園で発生した土は、一般ごみとして処分できないのでしょうか?

一部自治体に例外はありますが、基本的に「できない」というのが答えになります。

その理由は、そもそも土は「自然物」に分類されるもので、「廃棄物」には分類されないため、ごみとして処分することが難しいのです。

また、土は焼却処分することができない、というのも、理由の一つとしてはあります。

土の正しい処分方法

ごみとして処分することが出来ないのなら、土の正しい処分方法とは、一体どのような方法なのでしょうか。

いくつか方法はありますが、ここでは4つほど、ご紹介します。

 

1. 庭にまく、リサイクルする

土を完全に処分するのではなく、違う使い道で再利用する方法です。

特に手間も費用も掛かりませんが、完全に土を手放したいという方には不向きな方法でもあります。

 

2. 購入した店舗に引き取ってもらう

便利な方法ですが、購入時と同量でなければならない、購入時のレシートや外袋が必要、など、いくつかの制約条件がつくことがあります。

そのため、土を購入する際には、購入店舗での土の引き取り条件を先に聞いておくことも重要だと言えるでしょう。

 

3. ホームセンターの引き取りサービスに出す

一部のホームセンターでは、土の引き取りサービスを行っているところもあります。

大変便利なサービスではありますが、このサービスを行っているホームセンターは、残念ながら、ごくごく限られています。

 

4. 不用品回収業者に依頼する

業者によっては土の回収に対応していないところもありますが、利用すると大変便利です。

他にも引き取ってほしいものがある場合に、土も合わせて引き取ってもらうといいでしょう。

個人の残土処分の費用相場は?

それでは、上記で見てきた4つの方法それぞれについて、どれくらいの処分費用がかかるのか、解説していきます。

まず庭にまいてリサイクルする方法については、当然ながら費用は掛かりません。

しかし、実際には土を処分できていないことも事実です。

また、購入した店舗やホームセンターに引き取ってもらう方法は、自分で土を運搬しなければならない手間はかかりますが、実質的に費用はほとんどかかりません。

一方、不用品回収業者に依頼する場合には、向こうが引き取りに来てくれるメリットはあるものの、若干の費用が発生します。

具体的な金額とすれば、土の処分費用なので、自治体や業者ごとに費用は若干異なってきますが、例えば東京23区内の場合、500円~3,000円程度の出張費用(基本料金)と、1kgあたり40~150円程度の処分費用が発生します。

まとめ

以上見てきたように、土は廃棄物ではないので、通常のごみと同様に処分することはできません。また、不適切に処分すると、土砂崩れの原因となるなど、危険を伴うため、専門業者が、国や地方自治体に届け出をしながら処分することになります。

そのため、土の処分にはお金がかかってしまいます。

しかし、処分方法にはいくつかあり、やり方次第では費用を押さえながら処分することもできますので、常に最適な処分方法を選定できるようにしておくといいでしょう。